シアトル・マリナーズ再建への道① | Take Me Out To The Ballgame -大リーグ狂の詩-

シアトル・マリナーズ再建への道①

 2008年,シアトル・マリナーズは,シーズン開幕前の期待とは裏腹に,AL西地区の最下位に沈んだままシーズンを終えた.2007シーズンを4年ぶりの勝ち越しとなる88勝74敗で終えていたマリナーズは,オフシーズンにエース候補のErik Bedardと3番手候補のCarlos Silvaを獲得.ポストシーズン進出を狙いシーズン開幕を向えた.しかし終わってみれば,出塁率AL最下位(.318),長打率ALワースト2位(.389),防御率ALワースト4位(4.73)の成績が示すとおり,ダントツの最下位.力不足は否めず,2008年は負けるべくして負けたシーズンであった.


 今オフ,マリナーズのオーナーグループは遂にGM Bill Bavasiを解任.前任のGM Pat Gillick時代の平均98勝と比較すると,Bavasi時代の平均勝ち星は71勝,彼のFA契約,トレードを見ても解任は遅すぎた感がある.昨年末に解任しておけば,再建の核となりうるAdam JonesChris Tillmanの二人が残っていただけに,オーナーグループの対応の遅さが悔やまれる.


Bavasi時代の主な移籍とFA契約

トレードされた若手選手

 Adam Jones, Chris Tillman, Rafael Soriano,Asdrubal Cabrera,

 Shin-Soo Choo, Tony Butler

トレードで獲得された選手

 Erik Bedard,Horacio Ramirez,Eduardo Perez,Ben Broussard

FA契約された選手

 Adrian Beltre, Richie Sexson, ,Jarrod Washburn,Miguel Batista,城島健司

ドラフト(又は契約された)新人選手

 Yuniesky Betancourt, Brandon Morrow, Jeff Clement,

 Adam Jones, Chris Tillman, Carlos Triunfel


 Bavasi解任後,マリナーズの新GMにはJack Zduriencikが就任した.Bavasi時代に疲弊しきった球団を立て直すという意味では,ZduriencikのGM就任は正解であろう.Zduriencikは2000年からミルウォーキー・ブリュワーズのスカウト部門の総責任者を務め,数多くの優秀な若手選手(Prince Fielder,Ryan Braun,Matt LaPorta,Yovani Gallardo,J.J. Hardy, Corey Hart)をドラフトすることにより,12年連続負け越していたブリュワーズをプレイオフ進出まで導いた人物である.タレント評価のスペシャリストである彼がGMに就任したということは,マリナーズがBavasi時代と同じ轍は踏まず,長期的な視点にたったチームづくりに移行する兆候だと思われる.現にZduriencikは,今オフ,FA契約に大金を投じるつもりがないことを発表しており,Adrian BeltreJ.J.Putzが他球団のプロスペクトとトレードされるという噂もある.